『Phantastopia(パンタストピア)』第3号を公開します。本誌は、東京大学大学院総合文化研究科表象文化論コースの大学院生が運営するWebジャーナルとして、2021年度より刊行を開始しました。おかげさまで3年目を迎え、ようやく継続的な活動として形になってきたようにも感じます。
第3号では、コース教員による査読の結果、3本の「論文」を掲載することができました。加えて掲載された3本の「研究ノート」と共に、表象文化論コースの大学院生による最新の研究成果を発表する場となっています。それぞれの論考で対象や視点は大きく異なるものの、結果として、広く芸術/文化/思想について歴史と理論を架橋しながら論じようとする「表象文化論」的な誌面になったのではないかと思います。
また「ブックレビュー」として、外国語文献の書評記事を5本掲載しました。それぞれの著作に対して、専門分野の院生が研究史上の位置付けを踏まえた解説を行っています。いずれも未邦訳の文献についての日本語記事として、貴重な資料となっているはずです。
これら院生の投稿による論考のほか、編集委員会として企画した「レポート」記事を2本公開しました。
1本目は、編集委員会の主催として行った映画上映イベント「ちょっとだけ遠い人々 現代映画と距離の感覚」の記録です。監督作がPFFアワード2023に入選したお二方をゲストとして招き、作品の上映およびコースの映画研究者とのトークセッションを行いました。現代の映画における演出や自主映画を取り巻く状況について、じっくりとお話しいただきました。
2本目は、東京大学教養学部選抜学生コンサートでの林光《流れ》の演奏をめぐるレポートです。企画・演奏を行ったコースの院生3名による記事で、例年ピアノを中心とした演奏会として催されてきたコンサートの場で現代音楽的なパフォーマンスを行うという一風変わった実践の記録になっています。
企画記事はどちらも、芸術文化をめぐる実践と研究のあいだで思考するよう促すものです。何かを構想し作ること、それを分析し語ること。2つの記事が、両者のより良い関係を考えるきっかけとなることを願っています。
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第3号の刊行にあたっては、多くの方々のお力添えをいただきました。
今号の企画イベントにゲストとしてご参加いただいた和久井亮さん、たかはしそうたさん、ならびにコメンテーターとしてご登壇いただいた竹峰義和先生、韓燕麗先生。記事の完成まで様々にご協力いただき、誠にありがとうございました。また、論文等の投稿や企画への協力をいただいたコースの院生のみなさんにも、感謝申し上げます。
本ジャーナルの立ち上げ時からWebサイトの制作をご担当いただいているBOSCO小林雅人さんには、今号の編集でも大変お世話になりました。いつも柔軟にご対応いただき、心強い限りです。誠にありがとうございます。
表象文化論研究室の先生方、スタッフのみなさまには、投稿論文の査読をはじめとして全面的なご協力をいただいています。とりわけ担当教員の桑田光平先生には、多大なご助力をいただきました。また、昨年に引き続き森元庸介先生にも大変お世話になりました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。
『Phantastopia』第3号編集委員会
石川愛、梅谷彩香、王宏斌、岡俊一郎、
陰山涼(編集後記文責)、澤田朱里、塩田典子、
下山雄大、谷口奈々恵、趙婭冰、
浜渦理起、原田遠、龐鴻、山田惇一