東京大学大学院表象文化論コースWebジャーナル
東京大学大学院表象文化論コース
Webジャーナル

編集後記

このたび『Phantastopia(パンタストピア)』第2号を公開する運びとなりました。『Phantastopia』は、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コースに所属する修士課程・博士課程の大学院生が主体となって運営・刊行するWebジャーナルです。

本ジャーナルは、創刊号の編集後記にも記載したように、表象文化論コース所属の大学院生の研究成果を広く対外的に発表することを第一の目的としています。第2号も、創刊号からの編集方針を引き継ぎ、一般的な学術誌と同じく、論文と研究ノートを中心に構成されています。論文は本コースの教員による厳正な査読プロセスを経ています。ブックレビューでは、表象文化論の学問分野に関連する未邦訳の外国語文献を、院生の専門的な知見にもとづき紹介しています。このほか、編集委員による企画記事を2つ掲載しています。まず、『Phantastopia』創刊のきっかけのひとつとなった、『表象文化論研究』について関係者の方に行ったインタビューを掲載しています。『表象文化論研究』は、かつて表象文化論コースから刊行されていた学生論文集であり、本サイト公開を機に著者の方々の協力を得て学術レポジトリへの登録を行いました。刊行当時の状況をご存じの方々へのインタビューによって表象文化論という学知のあゆみ、学生が主体となって運営するジャーナルの位置づけについて改めて認識を深めるきっかけとなりました。また、もう1つの企画記事として表象文化論コース関係者が制作に数多く関わった映画『籠城』の上映会とアフタートークの記録記事を掲載しました。表象文化論コースの持つ特徴の1つである、学術研究と実制作をダイナミックに往還する様子を感じていただけますと幸いです。

『Phantastopia』の第二の目的は、多様な分野を専門とする本コース所属の大学院生が互いに交流しながら、知のダイナミズムを創出する「場」を築くことです。『Phantastopia』は、現在、表象文化論コースに所属する学生がどのような関心を持って研究を進めているのかを一覧するための機能も備えているといってよいでしょう。専門性の高い研究を行っていくなかで、自分の専門については見識を深めてはいるものの、関心の近いはずの表象文化論コース内ですら、どのような研究が行われているのかが見えづらくなってしまうといったことがおこります。2019年末に始まった新型コロナウイルス感染症の拡大の中で、学生同士が対面で集まり対話したり、議論をしたりする機会を確保することは以前よりも難しくなりました。こうした状況の下で、他の学生の持つ関心のあり方がさらに見えづらくなっていたように思います。『Phantastopia』が一種の見取り図としての役割を果たすことを期待しています。また、2022年春からは、「研究のトポス」と呼ばれるリレー形式の記事を掲載しています。学術論文とは異なった形で、普段の研究生活から感じたことを発信し、執筆者一人一人が自分自身の研究手法や思考の枠組みについて内省しながら紹介する場です。こうした試みが、学術論文と異なる形で興味関心をシェアすることに役立つことを期待しています。

第2号の制作・企画・運営は、計15名の大学院生からなる編集委員会で行われました。留学中の委員もおり、オンラインを中心に議論を重ねてきました。

第2号刊行にあたっては、多くの方々からのお力添えをいただきました。とりわけWebサイトの制作をご担当いただいているBOSCO小林雅人さんは、第1号に引き続き、細かな指摘に対しても柔軟にご対応いただきました。

また、表象文化論研究室の先生方、スタッフのみなさまには、投稿論文の査読をはじめとして、『Phantastopia』の運用に全面的なご協力をいただいています。第2号編集委員会の教員代表をご担当くださった森元庸介先生には、企画の実行にあたって様々な形でサポートをいただきました。この場を借りて心より感謝を申し上げます。

『Phantastopia』というジャーナルを刊行する際に、タイトルに「topia」という言葉を入れたのは、1つの完結した出版物(Webサイト)を世に問うだけではなく、制作の過程で学生が語らい、その成果を発信する場にしたいという思いからでした。タイトルにも込めた思いが、第2号の中で少しでも具体的な形で結実していれば編集委員としてうれしく思います。

『Phantastopia』第2号編集委員会
石川愛、上田有輝、梅谷彩香、岡俊一郎、乙幡亮、陰山涼、小手川将、澤田朱里、
谷口奈々恵、趙婭冰、張子俐玥、野上貴裕、原田遠、韓瑩、文可依

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Phantastopia 2
掲載号
『Phantastopia』第2号
2023.03.27発行